渦潮を作ろう!

hoozukiren2007-09-10

映画『阿波DANCE』を観てきました。渋谷でレイトショー。小さい映画館で観客はたった9人でした。なんとも寂しいことです。もうひとつ寂しかったのは、この映画館、フィルム上映じゃなくて、プロジェクター、つまりビデオ上映だったんです。画質が悪いは、薄暗いはで、いきなりがっかりしてしまいました。先週までの別の映画館での上映で観ればよかったです。


しかも映画の内容がまたがっかりでした。
まるでマンガのような軽いギャグの連発なんですよ。
ストーリーは、東京でヒップホップをやっていた高校3年生の茜(榮倉奈々)が徳島(鳴門)に転校して、そこで廃部寸前の阿波踊り部の男子生徒と出会い、いっしょに新しいダンス、阿波DANCEを生み出すというもの。
榮倉奈々、スタイルは抜群だけど、ダンスは物足りないです。手足の動きにスピードがない。かと思うと、阿波踊り部のメンバーも阿波踊りがイケてない。
なによりも榮倉奈々が無愛想でかわいくない!


というわけで寂しいレイトショーを我慢する覚悟を決めかけていたところで、途中から映画が変わってきます。登場人物達がそうそう脳天気でもないことがわかってくるからです。


茜は、父親のいない家庭で、母親に悩みも告げられず、いつも孤独だったんです。彼女のつっぱって無愛想なダンスはそういうスタイルというわけではなくて、笑えない少女だったからなんです。
熱血阿波踊り少年コージ(勝地涼)も、伝説の天水である父親との確執に苦しんでいます。
医学部受験と画家への道と茜への恋心に悩むユッキー(北条隆博)は、阿波DANCEの練習に行けなくなってしまいます。
こうして脳天気だったはずの阿波DANCEは行き詰まってしまい、夏の大イベント、鳴門の阿波踊りへの参加も危うくなってしまうのでした。


いろんな人が「阿呆になれ」と言います。
コージは父親からそれが阿波踊りだと諭されます。
茜は祖父からそれが生き方だと教わります。
阿呆って何?と茜が祖父に尋ねると「何も考えずすべてをうけいれることだ」という答えが返ってきました。


茜は自転車に乗れません。父親いなかったから、だれかれも教えてもらう機会がなかったのです。
母親は「力を抜け」と教えます。つまり阿呆になること。
茜は海に向かう一直線の埠頭で自転車を漕いで行きます、力を抜いて。乗れた! とうれしくなり、スピードをあげ、そのまま海に自転車ごと飛び込んでしまいます。大惨事! かと思ったら、茜は海から顔を出して笑います。阿呆になりきった瞬間です!
笑顔のかわいいこと! 


このへんからはもう、観ていて気持ちは高ぶるし、阿波踊りの情景はどんどん出てくるし、映画にすっかり魅了されているのでした。


鳴門の阿波踊りの演舞場がクライマックスです。阿波DANCEのチームが中心となって、その周りをほかの連の阿波踊りがぐるぐる周り、大きな渦が生まれます。
鳴門の渦は瀬戸内海に太平洋の潮が流れ込んでできる一瞬の奇跡だと、渦潮マニアの阿波踊り部の顧問先生が熱心に語っていました。
奇跡の渦潮に包まれた演舞場は最高でした。すばらしい祭りです。いい映画ですよ!


笑顔、阿呆になること、渦潮を作ること。
それが阿波踊りに必要なことだと理解しました。
ほおずき連も渦潮を作りましょう。そのためには外からの流れと求心力が必要かもしれませんね。


以上、とりとめのない感想でした。


映画『阿波DANCE』は渋谷シネ・ラ・セット(渋谷東急本店の前)にて9月21日(金)まで毎晩21時から上映中です。
★公式サイト
http://www.awadance.jp/introduction.html
★渋谷シネ・ラ・セット
http://www.cqn.co.jp/THEATER/lasept/index.html


ノベライゼーションが出てた!

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(じつに)