幸福を噛みしめよう

2010年4月から、ほおずき連連長が初代の本谷利勝から本田和夫に代わりました。
本田さんはほおずき連創設のときから「会長」として全体を俯瞰する立場で指導してきましたが、設立5周年を迎えて、メンバーたちからの強い要望に答え、連長として直接指揮をとる決意をしました。
つまり、2010年、ほおずき連、勝負の年なのです。



本田連長はどんな人でしょうか。
20数年前にまず最初に草加市内で太鼓団体「小山太鼓」を設立したのが芸能人生の始まりです。
その後、阿波踊りに関心を広げ、小山太鼓を母体として草加小山連を設立しました。
つづいてとしこ連の設立に加わり、2005年、ほおずき連を立ち上げて現在に至ります。
最後にたどり着いたほおずき連に、本田連長自身の思いが集約されていると言えそうです。


さて、その思いとは、そして連の方向は? 本田連長に語ってもらいました。
連長はずばり以下のような要点だけを語ってくれました。

「まず、みんなが仲良くできる連であってほしい」

仲のよさこそほおずき連の最大の特徴です。練習以外でもよくみんな集まって遊んでいます。
ほおずき連は連長を中心としたファミリーであり、ファミリーがたまたま阿波踊りをやっていると言っていいでしょう。

「個人個人が自由に踊ってそれで客に魅せることができるようになりたいね」

阿波踊りのスタイルについては、連長は各踊り手が一人で自由に踊る姿に理想を見ています。
踊り方を縛るのではなく、自由にのびのびと踊っていいと言うのです。
でも、「魅せる」ためにはそれなりの技量が必要。練習が大事ですね。
昨年のほおずき連は集団の演出をとことん追求しました。それは、たくさん入会した新人たちが、まだ個人で魅せることができない部分を補うことになったと思います。
でも、今年は個人技にもっとこだわりたいです。

「何事もみんなで相談してみんなで決めよう。俺が絶対じゃない」

さて、本田連長が「個人」と言いながら、それに反したように「集団演出」に走ったのが去年のほおずき連の姿かもしれません。
あれでよかったのでしょうか。
そこに連長のもうひとつの方針があるのです。何事もみんなで相談してみんなで決めようという。
ほおずき連は話し合いが好きです。練習のあと輪になって延々と話しています。練習場所から出てもどこかのファミレスに寄って話し続けます。
ほおずき連は新しいアイデアが大好きです。踊りや鳴り物で何か新しいアイデアや技を提唱する人がいると、みんな飛びつき、話し合って練り上げ、実現してしまいます。
連長は、みんなで決めたことや、新しい思いつきを尊重します。「やってみろ」と背中を押し、助言して応援します。
未消化になったり混乱に陥ったりすることもありますが、その結果を受けて、方向を修正すればいいのです。
みんなで決めたことだから、失敗もまた楽しいのです。

阿波踊りに関わる時間は大切で幸福な時間であってほしい」

阿波踊りは練習もイベント出演も楽しいです。練習の休憩も、イベント会場への移動も、打ち上げも忘年会も、電話もメールのやりとりも、阿波踊りに関することはどれも楽しいです。
以前、箱根の旅館での結婚式で阿波踊りを披露するために車で駆けつけたことがありました。お客さんたちにおおいに喜んでもらえて大満足の帰り道、連長が冗談で「俺たちは旅芸人だ。次はどこに行こうか」と言ったことがありました。
ああ、ほおずき連が旅の一座だったらどんなに楽しいだろう、と想像して、かえってさびしくなってしまいました‥‥。
いやいや、僕たちはすでに旅の一座なのです。あらゆる生活を共にする、ほおずき連一座の座員なのです。
幸福を噛みしめましょう。
(じつに)