太鼓叩きの本能

ボアダムスという日本のバンドがあります。知らない人も多いかもしれませんが、ある種のノイジーアヴァンギャルドなバンド群の中心的存在であり、日本のメジャーな音楽界をスルーして、一気に世界的になってしまっているバンドなのです。
いろいろな形態を経て、今はリーダーのEYEのDJや声、合体改造ギターの演奏を中心に、複数のドラマーが参加したユニットになっていて、打楽器のパワーが前面に打ち出された印象を受けます。


そのボアダムスに関する記事を『ミュージック・マガジン12月号』で見つけました。2007年7月7日に、ニューヨークはブルックリンでとんでもないライブを行っていたというのです。野外の広場に、77人ものドラマーたちを渦巻き状に配置して、いっぺんに演奏させたのです。そしてその演奏の模様がCDとDVDのセットで発売されたというのです。すごく見てみたいです。


試しにYoutubeで調べたら、観客たちが現場で撮ったらしき動画がたくさん見つかりました。正規版ではないけれど、十分雰囲気は伝わります。


非常識に多すぎるドラマーたち。リズムが合うのだろうか‥‥。いえいえ、心配には及びません。合うんです! シンクロするんです。それがドラマーの本能。悲しい性(さが)。怒濤のリズムの快感、シンクロの快感に酔いしれてしまうのです。


時折リーダーのEYEがシンクロを破る新たなテーマを提示すれば、77人のドラマーたちは速やかにそのテーマを追いかけ、新たなリズムの津波に乗っていきます。


合わせてしまう‥‥。この悲しい性こそ太鼓叩きの本能であり、本能で合わせることができない人は太鼓に向いてないとさえ言えるのかもしれません。


★参考までにYoutubeのリンク。

The Boredoms 77 Boa Drum Part One

The Boredoms 77 Boa Drum Part Two

The Boredoms 77 Boa Drum Part Three

The Boredoms 77 Boa Drum Part Four

The Boredoms 77 Boa Drum Part Five

The Boredoms 77 Boa Drum Part Six

The Boredoms 77 Boa Drum Part Seven

The Boredoms 77 Boa Drum Part Seven.Seven
どっしりと堅く大きいリズムに高らかな男女の歌声が乗るPart Sixの終わりからPart Sevenに至る部分はちょっと感動させられたりする。
(じつに)